老犬の緩和ケアについて 事前に知っておきましょう

あまり積極的に考えたいことではありませんが、大切な家族の一員である愛犬にもいつかは旅立ちの時がくるということは避けることはできません。

旅立ちが避けられない状態でも緩和ケアを行うことによって穏やかな毎日を老犬に過ごしてもらうことはできるため、今回は老犬の緩和ケアについて解説していきます。

そもそも「緩和ケア」とは?

「緩和ケア」はわかりやすくまとめると「痛みやその他の苦痛な症状を和らげることによって生活の質であるQOLを改善するためのアプローチ」となります。

人の医療において「緩和ケア」という言葉が初めて使用されたのはカナダにおいて「緩和ケア病棟」が開設された1975年のことです。それから15年後の1990年にWHOによって「緩和ケアに関する定義」が公表され、その後の経験の広がりと支持療法の発展を受けて2002年に改訂が行われました。

ただ日本において「緩和ケア」の認知度はまだまだ十分ではないのが現状であり、獣医療でも緩和ケアを終末期医療と捉えて否定的なイメージを持つ関係者が多いという問題点もあります。

緩和ケアの前に今の老犬の状態を把握しましょう

緩和ケアを行う前に可能な限り動物病院を受診して、今の老犬がどのような疾患などによって「緩和ケア」を必要としているか詳細に把握しましょう。

例えば「老衰による衰弱」や「僧帽弁閉鎖不全症のステージD」といった様々な理由が存在しますが、「今の老犬の状態や症状」、「今後老犬はどのような状態になっていくか」などを飼い主さんが理解することは老犬のためだけではなく飼い主さんの心の整理にも非常に重要なこととなります。

自宅で行うことのできる緩和ケア

自宅で飼い主さんによって行うことのできる緩和ケアについてご紹介していきます。

ただ、これらが全ての老犬に適していると言い切ることはできないため、あくまで参考としてくださいね。

環境を整える

一般的に犬における快適な部屋の環境は「湿度50%程度、室温は22℃〜25℃程度が理想」と考えられています。もちろん、個体差にもよりますが老犬がよく過ごす場所には温湿度計を設置し、必要に応じて冷暖房や加湿器、除湿器により適切な温湿度を保つようにしましょう。

獣医師の指示の下の皮下点滴

獣医師の指示によって老犬に必要ならば、皮下点滴による脱水状態の改善を行っても良いでしょう。

初めは何回か動物病院でのレクチャーが必須となりますが、慣れれば自宅で飼い主さんだけで皮下点滴を行うことができるようになります。

獣医師の指示の下の強制給餌

こちらも獣医師の指示によって老犬に必要ならば、流動食をシリンジで与えるなどの強制給餌も緩和ケアの1つとなります。

ただ、与える量や与え方によっては老犬の体調を悪化させてしまう危険性もあるため行う前は獣医師と十分相談をしてからにしましょう。

獣医師の指示の下の投薬

こちらも獣医師の指示によりますが緩和ケアとして「痛み止め」や「吐き気止め」、「下痢止め」などの薬剤を投与することも、老犬が穏やかに過ごすことの助けになります。

老犬は食欲があまりない状態の子も多いため、可能ならば投薬用のおやつなどを使用してフードとは別に薬だけ与えたほうが抵抗は少ないことが多いでしょう。

可能な限り一緒に過ごす

ほとんどの老犬は飼い主さんが大好きで、飼い主さんが側にいてくれるだけで安心して穏やかに過ごすことができるといえるでしょう。

よってお仕事などが許す限りは、老犬がストレスを感じない程度に側にいてあげて、撫でたり、大好きだよと伝えたり、昔の想い出話などを語りかけてあげましょう。

老犬の緩和ケア

大切な家族の一員である老犬に「緩和ケア」の話が出てくるとパニックになったり泣いてしまったりすることもあると思いますが愛犬のためにできることは、まだまだたくさんあります。ぜひ、この記事を参考にして穏やかな時間を大切に過ごさせてあげてください。